このページでは、少女漫画・天使禁猟区と、本作品の元ネタと考えられる聖書との関係について解説します。
天禁ファンはぜひチェックしてくださいね!
●このページを読んでわかること
・天使禁猟区に登場する天使や悪魔の元ネタは聖書
・ルシファーのモデルと考えられるサタンについて
・アレクシエルが食べていた禁断の果実と聖書の関係
・聖書におけるゲヘナや地獄、堕天使について
・おすすめの聖書・マンガ聖書
・無料で観れる聖書関連動画
●このような方におすすめ
・天使禁猟区が大好きな方
・天使禁猟区の元ネタが気になる方
※本記事はネタバレを含みます
天使禁猟区の元ネタは聖書?
天使禁猟区は、1994年~2000年に「花とゆめ」にて連載されていた作品で、作者は由貴香織里さん。
通常、20年以上も前に連載されていた漫画は、絵が古く感じられるものです。
しかし、このように↓
元々の絵が美しすぎるので…!天使禁猟区を知らない人に最近の漫画だと言っても、バレないのではないでしょうか。
また、2022年4月から花ゆめAiにて、新作の「天使禁猟区-東京クロノス-」の連載がスタートすることから、楽しみにしている方も多いことでしょう。
さて、そんな天使禁猟区は聖書の影響を受けた漫画だと考えられます。
天禁ファンなら、元ネタについて知りたいですよね?
そこで、天使禁猟区と聖書の関係について、いくつかのポイントに分けて考察していきたいと思います。
ミカエルなど天使の名前の由来は聖書
天使の日ってなに pic.twitter.com/sptt02Zso6
— 由貴香織里⭕️「落園の美女と野獣」退院したお! (@angelaid) October 4, 2015
天使禁猟区には四大天使であるミカエルや、主人公である無道刹那の妹・紗羅の前世、ジブリールなど、美しい天使たちが登場します。
天使禁猟区に登場する天使は聖書にも出てきます。聖書に登場する天使は以下のとおりです。
・ミカエル:天使のトップ、戦いの天使
・ラファエル:聖書外典に登場、癒しの天使
・サンダルフォン:聖書外典に登場、元々はエリヤという名の人間
・ザフキエル(ザフィケル):ユダヤ教で知られる天使、神の番人を意味する
聖書正典に登場するのはミカエルとガブリエル(ジブリール)だけです。
聖書では、ミカエルは天使長でイスラエルを守る天使、ガブリエルはイエス・キリストの誕生をマリアに伝えるなど、メッセンジャーの役割を果たす天使として記載されています。
一方で、サンダルフォンといったその他の天使たちは、聖書外典に出てきます。
なお、聖書外典は内容に間違いや矛盾点も含まれていることから、プロテスタントの教会などでは、聖書の正典と認められていません。
聖書におけるアレクシエルやロシエルのモデルは?
ミカエルやジブリールが聖書の天使をモデルとしているのなら、アレクシエルやロシエルのモデルとなっている天使が気になるところですよね。
調べてみたのですが、アレクシエルとロシエルのモチーフとなった存在を、私は見つけることができませんでした。
恐らく、アレクシエルとロシエルは、天使禁猟区のオリジナルキャラクターなのだろうと私は推測しています。
なお、アニメ・エヴァンゲリオンに登場する使徒も、聖書に登場する天使の名が使用されています。
詳しくは以下の記事をチェックしてみてくださいね。
ルシファーのモデルはサタン
天使になんてなれなかった。 pic.twitter.com/ItbwBgOErk
— 由貴香織里⭕️「落園の美女と野獣」退院したお! (@angelaid) October 4, 2015
ルシファーは刹那の先輩である吉良朔夜の前世です。アレクシエルを愛し、ずっと見守り続けてきた存在でもあります。
そんなルシファーのモデルは聖書に出てくるサタン(悪魔)でしょう。
サタンは、元々は天使長として造られた存在。しかし、神のようになりたい欲を持ち、神さまに逆らって地上に落とされました。
聖書ではルシファーとも呼ばれます。
天使禁猟区のルシファーは、吉良の姿でいる間は面倒見が良かったり、アレクシエルを守ったりしていました。
しかし、聖書に登場するルシファーは"悪"。
徹底的に拒絶すべき存在です。
地上では、人間をだまして神さまから引き離し、罪を犯させ地獄に引きずり込む悪の働きを行います。
その他悪魔たちも聖書に登場する悪魔がモチーフ
天使禁猟区に登場する七君主の悪魔の一部も、聖書に出てくる悪魔がモチーフとなっています。
聖書に登場し、天使禁猟区に登場する悪魔と関わりのある存在は以下のとおり。
・ベリアル:ヘブル語で”無益な者”という意味。新約聖書ではサタンの別名とも考えられているが、死海文書では闇の子たちの指導者と記載されている。
・アシュトレト(アスタロト):旧約聖書に登場する異教の神(悪魔)
・レヴィアタン:創世記で造られた海の怪物で、中世期以降に嫉妬を司る悪魔と認識されるようになった。
・マモン:強欲を司り、人間をお金の奴隷にする悪魔。
・ベールゼビュート:暴食を司る悪魔。ヘブライ語形ではベルゼブブ。
バルベロは、グノーシス主義と呼ばれる思想を持つ人たちに崇拝される存在だったようです。
なおベリアルが登場し、エヴァンゲリオンにも出てくる死海文書については、以下の記事にまとめています。
アニメ・七つの大罪や鋼の錬金術師でも、聖書に登場する悪魔がモデルと考えられるキャラクターが存在します。
びっくり...悪魔崇拝儀式って本当にあるの!?
こちらは、天使禁猟区とは全く関係がない余談なのですが、オーストラリアのニュースにて悪魔崇拝儀式の様子が映り込む、といったハプニングがありました。
良ければ以下の動画をチェックしてみてください。5秒あたりからです。
AUSTRALIA: “Hail, Satan!”
— ELIJAH SCHAFFER (@ElijahSchaffer) August 22, 2021
A broadcaster “accidentally” ran footage of a satanic ritual during a news segment
“Accidentally” at the perfect timing to pledge allegiance to satan while it read “NSW enters first full day of lockdown” on the chyron
(Yes this is real) pic.twitter.com/3bqQt5vobu
”Hail, Satan”とか言ってますよね...。苦笑 Hailとは称賛するという意味です。
しかし、悪魔崇拝儀式って本当にあるんですね...。苦笑
天使禁猟の主人公、無道刹那のモデルはイエス・キリスト?
天使禁猟区の主人公は無動刹那(むどうせつな)という16歳の青年です。
刹那は女の堕天使であるアレクシエルの生まれ変わりであり、人類の救世主的存在でもあります。
さて、聖書に登場する救世主(メシア)といえばイエス・キリストです。
イエス・キリストについては次で詳しく解説します。
救世主イエス・キリストとはどんな人物?
聖書には旧約聖書と新約聖書があり、イエス・キリストは新約聖書に登場する人物です。
人物といっても、普通の人ではありません。
処女マリヤが聖霊によって身ごもり誕生した方で、人の姿をした神です。
イエス・キリストは、神さまから離れ滅びへの道へと進んでいく人間を救うために、地上に誕生しました。
罪のない清らかなイエス・キリストが、骨や筋肉が見えるほどの拷問を受けた後、人々の罪を身代わりに背負って十字架にかかり、死んだことで、人類救済への道が開かれたのです。
そして、イエス・キリストは死んで墓に葬られましたが、3日後に蘇ったと聖書は語るのです。
もっと詳しく知りたい!と思われる方には、以下の動画がおすすめです!
天使禁猟区では、紗羅の死が必要なものであった、といったストーリーでしたよね。
また、刹那も殺されることでアレクシエルの復活につながりました。
刹那やアレクシエルの救世主的側面や、人類や世界の救済のために死が必要である部分については、イエス・キリストや聖書の世界観の影響を受けているのかもしれません。
なお、あのライオン・キングの主人公であるシンバのモデルも、イエス・キリストと考察できます。
アレクシエルが食べていた「禁断の果実」と聖書の関係
アレクシエルが幼少期、エデンという場所に閉じ込められていました。
彼女はそこで、食べることで母食いの罪となる木の実を食べます。
「エデン」そして「禁断の木の実」。
この部分に関しては、聖書の創世記に記述されている、アダムとエバ(イブ)の話がモチーフとなっているのでしょう。
禁断の果実を食べたのアダムとエバ(イブ)
聖書によると、アダムとは一番初めに誕生した人間です。神さまが土から創りました。
その後、アダムの妻となるエバをアダムのあばら骨から創造されました。
二人はエデンの園と呼ばれる場所で暮らします。
エデンの園には命の木と善悪の知識の木が存在していたのですが、神さまに善悪の知識の実は食べてはいけないと禁じられます。
なぜなら、善悪の知識の実を食べると死ぬからです。
しかし、ヘビ(サタン)にだまされて二人は果実を食べてしまいました。
さらに、二人は反省するのではなく、犯した罪を自分以外のもののせいにしました。
これらの罪から二人は永遠の命を失い、エデンの園には住めなくなってしまったのです。
前述したサタンの堕天と、アダムとエバのエピソードについては、以下のアニメが分かりやすいです♪
余談ですが、漢字の「禁」はこのアダムとエバの話が起源だと考えられています。
なお、天使禁猟区以外にもアダムとエバの話の影響を受けた作品がたくさんあります。
たとえば、先ほど紹介したエヴァンゲリオン。
また、デスノートにも禁断の果実とされるリンゴが頻繁に描写されています。
アニメのオープニングでも、リンゴが登場していましたよね。
詳しくは以下の記事で紹介しています。
ワンピースでも、アダムとエバをモチーフにしたと考えられる、「宝樹アダム」や「陽樹イブ」が登場します。
作中に聖書の言葉が散りばめられている
天使禁猟区には聖書の言葉が書かれている箇所があります。
たとえば、文庫本の第10巻、「落園 ACT.1」のアレクシエルが描かれている場面では、新約聖書のヨハネの黙示録4章8節にある言葉が使われています。
「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、全能者にして主なる神。昔いまし、今いまし、やがてきたるべき者」。
また、第9巻の「灰葬 ACT.6」のウリエルが語るシーンでは、同じくヨハネの黙示録の8章10~11節の以下の言葉がモチーフとなっている言葉が綴られています。
第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた。
そしてそれは、川の三分の一とその水源との上に落ちた。
この星の名は「苦よもぎ」と言い、水の三分の一が「苦よもぎ」のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死んだ。
このウリエルのセリフを読んで気づかされたのですが、天使禁猟区の「創世神による終末プログラム」は聖書における終末予言が元ネタの可能性がありますね。
実は、聖書にはさまざまな予言が記載されています。
なかでも注目したいのは、この世には終末が訪れて一旦世界はリセットされる、と考えられる予言。
「んなわけないじゃない...!」と思われる方が多いと思いますが、なんと上記の「たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた」を含め、コロナ、ロシアとウクライナの戦争、地震の増加など、予言の成就や前兆と考えられていることが本当に起こっています。
たとえば、以下の動画で映し出されている流れ星は、「たいまつのように~」の言葉が成就したかと思わせられます。
この火球は日本だけでなく、世界中で確認されている現象のようです。
聖書の終末予言に関しては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
聖書に出てくる堕天使とは?
アレクシエルやルシファー、ベリアルなどの七君主は堕天使ですが、聖書では堕天使について、どのように記述されているのでしょうか。
聖書によると、堕天使はサタンと共に神さまに反逆した天使たち。
天の軍勢の1/3がサタンと一緒に地に落ちました。これら1/3の堕天使は、地上では悪霊として活動しているのです。
なお、堕天使たちのなかには人間を妻にした者もおり、堕天使と人間の間に生まれた子はネフィリム(巨人)と呼ばれます。
アニメ・進撃の巨人はこのネフィリムがモチーフとなっている可能性があります。
聖書に記述されている「ゲヘナ」とは?
ドラゴンマスターである九雷(クライ)や邪鬼たちが暮らすゲヘナは、地獄の最上層である窖(アナグラ)にあります。
聖書でも、ゲヘナは地獄に存在すると記載されており、火の池とも呼ばれます。
なお、天使禁猟区では地獄の最下層をシオウルと呼んでいますが、聖書では罪人たちの魂が一時的に留まる場のことをシェオルといいます。
罪人たちは最後の審判を、シェオルで待つことになっているのだそう。
シェオルは陰府(よみ)と訳されたり、新約聖書ではハデスとも呼ばれたりしています。
天使禁猟区と聖書の違い
ここからは、天使禁猟区と聖書の違いについて解説します。
神さまは”善”、悪魔や堕天使は”悪”
前述しましたが、天使禁猟区ではルシファーの良い部分も描写されていますが、聖書ではサタン(=ルシファー)は完全なる悪。
また、堕天使も同様に拒絶・否定すべき存在です。
一方で、聖書における神さまやイエス・キリストは善なる存在。
天使禁猟区では神が悪で堕天使が善、と受け取れる箇所があります。
聖書では神さまは確かに厳しく恐れるべき存在として書かれていますが、一方で、非常に憐み深い方、愛の存在としても記述されています。
ここは天使禁猟区と聖書との大きな違いです。
そして創世神の子どもがイエス・キリスト。先ほどお伝えしたとおり、イエス・キリストは人間を救うために自分の命を捧げた存在です。
兄と妹が愛し合うのはダメ
天使禁猟区の最後は、実の兄妹である刹那と紗羅のハッピーエンドで締めくくられています。
旧約聖書でも、アダムとエバの子どもたちは兄と妹が結婚していることから、初期の時代は血がつながった者たちが結ばれることは、許されていたことが分かります。
旧約聖書に登場するアブラハムとサラも異母兄妹の夫婦です。
当時は遺伝病や奇形リスクがなかったので許可されていたようですが、今からおよそ3500年前に与えられたモーセの律法にて、血のつながった兄弟姉妹との結婚が禁止されるようになりました。
輪廻転生(生まれ変わり)について
天使禁猟区は、前世や今生といった輪廻転生の考え方がなければ、誕生していない作品だといえます。
しかし、聖書に死んだあとは別の人に生まれ変わって新たな人生を送る、といった内容は記述されていません。
その代わり、人は死後、天国か地獄のどちらかで暮らすこととなると綴られています。
聖書の世界を知り、天使禁猟区を新たな側面を発見しよう!
天使禁猟区が聖書の影響を多大に受けた漫画であることを知り、聖書を読んでみたくなった方もいるのではないでしょうか。
聖書の内容を把握することで、天使禁猟区をより一層深く理解することができますよ。そこでここでは、聖書の内容が分かる本や動画を紹介します。
聖書やマンガ聖書を読む
本格的な聖書を読んでみたい!と思われる方は、日本人でも分かりやすい訳語が使用されており、初心者でも読みやすいと評判の、新改訳聖書を読んでみてはいかがでしょう。
小型もあるのですが、字が非常に小さくて読みにくいといった口コミもあることから、こちらの中型をおすすめします。
目が良い方は小型を買ってみても良いでしょう。
その他おすすめの聖書は、以下のページにまとめています。
聖書を無料で読めるサイトや、無料の簡易版聖書についての情報もご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
本格的な聖書は読む気がないけれど、聖書の内容を知りたい!そう思われる方は、マンガ聖書を読んでみてはいかがでしょうか。
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キレイな絵と共に聖書の内容を把握できますよ。
その他、読みやいと評判の人気マンガ聖書は、以下のページで紹介していますので、ぜひこちらもチェックしてみてください。
聖書関連動画を観る
HISTORY on Amazon Primeにて、視聴時間第1位に輝いた「イエス・キリストの生涯」の動画を観て、聖書の内容を把握してみてはいかがでしょうか。
Youtubeでは第1話を無料で閲覧できますよ。
第2話からはYoutubeではアップされていないようなので、U-NEXTで観ると良いでしょう。
U-NEXTでは31日間の無料トライアルを実施しています。
そのため、残りのエピソードも無料で閲覧可能です。詳しい情報は以下よりチェックしてみてくださいね。
また、以下の映画もおすすめです。
聖書の言葉を確認しながら、イエスの地上での生涯について把握できます。
アニメが観たい方は、以下のYouTubeチャンネルがおすすめです!
天使禁猟区と聖書の関係:まとめ
天使禁猟区に登場する天使や悪魔は、聖書が元ネタであることが分かりました。
また、旧約聖書の創世記に書かれているアダムとエバの話も、本作品のモチーフとなっています。
天使禁猟区には聖書ネタがたくさん含まれていることを知り、驚いた方も多いことでしょう。
このサイトでは、聖書が元ネタと考えられる漫画・アニメ、映画のほか、聖書に関する興味深い情報を発信しています。
良ければ以下の記事も読んでみてくださいね。happylove127.hatenablog.com