今回は、人気アニメ「鋼の錬金術師」に登場するホムンクルスや、ホムンクルスの名前の元ネタと考えられる聖書について解説します。
ホムンクルスに関わりのある七つの大罪のほか、真実の扉の図のモチーフなどについても紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
●このページを読んで分かること
・七つの大罪と聖書の関わり
・ホムンクルスの特徴と各罪に該当する悪魔
・真実の扉に描かれている図「生命の樹」と聖書の創世記に出てくる命の木について
●このような方におすすめ
・鋼の錬金術師が好きな方
・ホムンクルスの元ネタが知りたい方
鋼の錬金術師に登場するホムンクルスの元ネタとは?
アニメや漫画で大人気の鋼の錬金術師。鋼の錬金術師には、お父様と呼ばれる存在が創り出した人造人間「ホムンクルス」が登場します。
ホムンクルスは、主人公エドワードとアルフォンス兄弟の敵で、七つの大罪に相当する名前を持ちます。
この「七つの大罪」は、実はキリスト教、聖書が元ネタなのです。
七つの大罪については、次で詳しく見ていきましょう。
七つの大罪とは?
七つの大罪とは、キリスト教のカトリックと呼ばれる一派が用いる用語です。
聖書にはこの七つの大罪という言葉は記述されていませんが、これらの罪を犯してはいけないと記載されています。
たとえば、憤怒(ふんぬ)、嫉妬、色欲は箇所は以下に含まれます。
肉の働きは明白である。すなわち、不品行、汚れ、好色、偶像礼拝、まじない、敵意、争い、
そねみ、怒り、党派心、分裂、分派、ねたみ、泥酔、宴楽、および、そのたぐいである。
わたしは以前も言ったように、今も前もって言っておく。このようなことを行う者は、神の国をつぐことがない。
【ガラテヤ人への手紙5章19~21節】
その他、傲慢さや思い上がりが身を亡ぼす、欲望が罪につながるといった記述や、怠惰(たいだ)に対する警告など、聖書にはすべての罪に対する警告、記述があります。
なお、七つの大罪はアニメ「七つの大罪」にも元ネタとしても使用されています。
詳しくはこちらの記事を読んでみてください。
ホムンクルスの特徴と各罪に関係のある悪魔を紹介!
ここでは、鋼の錬金術師に登場するホムンクルスの特徴を解説します。
また、各罪に関わりのある悪魔もあわせて紹介します。
鋼の錬金術師・ホムンクルス「プライド(傲慢)」
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ヨキの手柄により、プライドから逃げることに成功したアル一行。
一方、残されたプライドとキンブリー。2人になった途端プライドが豹変するのだった。https://t.co/FlsAbXDovC #hagaren pic.twitter.com/bv4IxX94uU
七つの大罪の「傲慢(ごうまん)」から名付けられたプライドは、一番目に作られた人造人間です。
ホムンクルスではリーダー的存在のプライドは、見た目は可愛らしい男の子の姿をしています。
しかし、その正体は大きな影にたくさんの目や口のある、不定形の生命体です。
【傲慢】ルシファー【悪魔】
傲慢を司る悪魔は、ルシファーです。ルシファーはサタン(悪魔)と同一だと考えられています。
サタンは元々は天使長として創造された存在です。
しかし、すべての天使たちの上に立ち、神のようになりたいと思い上がり、神さまに反逆して悪魔になりました。
人間を見下すといったプライドの傲慢さは、悪魔・ルシファーと似ていますよね。
なお、サタンやサタンの堕天について詳しく知りたい方は、以下の動画を観てみてください。
鋼の錬金術師・ホムンクルス「ラスト(色欲)」
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倒したと思った矢先、逆にラストの矛がハボックとロイの体を鋭く貫いた。
その後、ホークアイとアルもラストと対峙することとなるが、手も足も出ず……。
その時、自らの傷を塞ぎ再び立ち上がったロイが、ラストを再び激しい炎で包むhttps://t.co/FlsAbXUZUc#hagaren pic.twitter.com/xd3w0Dl7CY
ラストは、2番目に作られたホムンクルスです。黒いドレスを身にまとい、黒髪ロングヘアーの妖艶な美女。
冷静沈着で頭が良く、人の命を平気で奪える冷酷さの持ち主でもあります。
戦闘の際は、指先を刃物に変える「最強の矛」を用いて敵と戦います。
この最強の矛は鉄さえも切断可能で、アルフォンスの鎧をも貫きました。
【色欲】アスモデウス【悪魔】
アステモデウスは、旧約聖書の外典と呼ばれる書物に登場する悪魔です。
気に入った人間の女性に憑りつき、新婚初夜に女性の旦那さんを絞め殺したとされています。
鋼の錬金術師・ホムンクルス「グリード(強欲)」
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中央司令部正面入口へ舞い戻ったブラッドレイ。
バッカニアも瀕死の重傷を負う。絶体絶命の状況の中、それでも一人、必死に大総統へ銃を構えるファルマン。
そこへなんと行方不明だったグリードが立ち塞がった。https://t.co/FlsAbXDovC #hagaren pic.twitter.com/dsfZMTr7G9
グリードは、地位や名誉、女、金などすべて手に入れたいという強欲の持ち主です。
お父様と共にいれば、自分の欲望を満たせないことからお父様から離反しています。
ホムンクルスとしての固有能力は、最強の盾。体の皮膚をダイヤモンドのように硬い状態にし、攻撃から身を守ることができます。
【強欲】マモン【悪魔】
マモンとは、新約聖書では富を表現する言葉として使われています。
マモンは人間にお金に対する欲望を持たせたり、金銭的な不安を抱かせたりすることで、人々をお金の奴隷にすることを目的としています。
鋼の錬金術師・ホムンクルス「エンヴィー(嫉妬)」
4番目のホムンクルスとして造られたエンヴィー。少年のような見た目をしていますが、性別は不明です。
エンヴィーの固有能力は変身です。あらゆる人間や動物に変身し、だまし討ちするのが得意。
なお、エンヴィーの本来の姿は人型ではなく、大きな化け物です。賢者の石を構成する多くのクセルクセス人でできています。
【嫉妬】レヴィアタン【悪魔】
レヴィアタンは、旧約聖書の創世記にて創造された海の怪物のことです。
天地創造の5日目に造られた怪物で、最初の頃は大人しい生き物であったと考察されるそう。
しかし、中世以降に嫉妬を司る悪魔と見なされるようになりました。
鋼の錬金術師・ホムンクルス「スロウス(怠惰)」
スロウスは、5番目に造られたホムンクルスです。通常の人間よりも大きな体の持ち主で、その名のとおり怠惰で面倒くさがり。
面倒くさがりゆえに、いつもはゆっくり動くスロウス。そんなスロウスの固有能力は、なんと「速さ」。
スロウスが本気を出せば、人間が目視できないほどに凄まじくスピーディーに動けます。
【怠惰】ベルフェゴール【悪魔】
ベルフェゴールは、旧約聖書に出てくるバアルと呼ばれる悪魔のことです。
聖書ではイスラエル人たちが神に選ばれた民として描かれていますが、このイスラエル人たちの一部はバアルを神として崇拝してしまいました。
バアルは豊穣をもたらす神として信じられていましたが、その本質は神などではなく悪。
バアルを崇拝する者たちに、子どもたちを生贄(いけにえ)として捧げさせるなど、おぞましいことを行っていたそう…。
鋼の錬金術師・ホムンクルス「グラトニー(暴食)」
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一緒に飲み込まれたエンヴィーとも再会したエドとリン。
エンヴィーはエドたちに、ここがグラトニーの腹の中であり、“お父様”が作った真理の扉の失敗作である事を教えた。
その時地上ではこんなやり取りがされていた。https://t.co/FlsAbXUZUc#hagaren pic.twitter.com/fAyA2bDD3R
グラトニーは6番目に造られたホムンクルスです。暴食という名に似つかわしい大きな体と、「食べていい?」が口癖のグラトニー。
常にお腹が減っており、無限に食べることができます。
そんなグラトニーの能力は、食べること。巨大なものから硬いものまで、何でも飲み込めます。
怒るとと体が裂け、裂けた部分から肋骨が伸びてあらゆるものを丸呑みします。
【暴食】ベルゼブル【悪魔】
暴食を司る悪魔はベルゼブルです。聖書ではサタン(悪魔)と同一と考えられています。
ベルゼブルのほか、ベルゼブブ(ハエの主)とも呼ばれます。
鋼の錬金術師・ホムンクルス「ラース(憤怒)」
ラースは7番目に造られたホムンクルスです。
表の顔は国を治めるアメストリス軍の大総統、裏の顔は人造人間という2つの顔を持つ存在、ラース。
元々は人間だったので、その他のホムンクルスとは異なり人間と同じように老化します。
そんなラースの固有能力は「最強の眼」。
常人離れした動体視力により、相手の攻撃や弾丸をも見切ることができます。
【憤怒(ふんぬ)】サタン【悪魔】
憤怒の罪に該当するのは、サタンです。
先ほどお伝えしたとおり、サタンは神さまに反逆して悪魔となりました。
聖書におけるサタンは、エデンの園にいるアダムの妻エバ(イブ)や、イエス・キリストを誘惑した存在としても有名です。
鋼の錬金術師に出てくる真理の扉の元ネタも聖書?
鋼の錬金術師に登場する真理の扉は、人体錬成を成した人の前に出現し、真理を見せてくれる謎の存在です。
この真理の扉に刻まれた図は、人によって異なりますが、エドワードの場合は生命の樹ではないかといわれています。
この生命の樹は、旧約聖書の創世記に出てくる命の木をモチーフとしているのでしょうか。
旧約聖書に出てくる命の木とは?
旧約聖書の創世記によると、創世神が世界を創り、土からアダムという名の人間を創造しました。
その後、アダムの妻、エバ(イブ)をアダムのあばら骨から造り、エデンの園と呼ばれる場所に住まわせます。
エデンの園には命の木と善悪を知る木が存在し、アダムとエバは善悪を知る木の実を食べると死ぬから、食べてはいけないと命じられました。
しかし、ヘビ(サタン)に食べても死なない、善悪を知る木の実を食べると神のようになれるとそそのかされ、二人とも善悪を知る木の実を食べてしまうのです。
禁断の果実を口にしたことで、清らかだったはずの人間に「罪」が入り込んでしまった、というのがあのアダムとエバのエピソードです。
前述したとおり、善悪を知る木の実を食べると死んでしまう体になってしまいますが、命の木の実を食べると、永遠の命を得られるといわれています。
なお、アダムとエバの話はエヴァンゲリオンやワンピースでも取り入れられています。
さらに、アダムとエバのエピソードは、「禁」という漢字の起源ではないかと考えられてもいます。
【アニメ・鋼の錬金術師】まとめ
アニメや漫画で人気の鋼の錬金術師に登場するホムンクルスには、キリスト教の教えである七つの大罪と関わりがあることが分かりました。
エヴァンゲリオンやワンピースのほか、進撃の巨人や約束のネバーランドも聖書の影響を受けている可能性があります。
このように、キリスト教の聖典である聖書の内容を理解しておけば、さまざまな作品をより楽しむことができますよ。
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